魔導書

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 藍色の、足首まで届く長い法衣(カソック)が一段降りる度にはためき、美しい銀色の長髪も動きに合わせて流れるように揺らめく。  その華奢な体はその巨大な梯子の中にあると、まるで小人(ホビット)のように見えた。  梯子を降りきり、フィリアは通路に、ページを見開いて落ちている本を拾い、目の高さまで持ち上げた。  古く、薄っぺらい本だ。  紙全体がかなりひどく黄色に変色しており、端の方も掠れている。  相当な年代ものの上、保存状態も最悪に近い。  まあ、本棚の上に無造作に置かれていたものだから仕方ないといえばそうだが。  ページ数の方も、せいぜい3,40ページほどしかない。  手首を返して、表紙に目をやる。 「あ、この本」  それを見た途端、フィリアは思わず声を上げていた。  その装丁が、本の状態とは対照的に、ひどくしっかりとしたものだったからだ。  表紙は皮製のハードカバーで、四隅には金属製のカバーまでつけられていて、その上題字は立体的に浮き彫りにされている。  大量生産のものではない。
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