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「おい、貴様そこで何をしている」
僕は声を掛けられた。
少し高圧的だなぁと思いつつも先輩なのかもしれないと考えて、振り向いた。
そして、驚いた。
深海の底を閉じ込めたような、深く濃い碧。
吸い込まれるようにその二重で切れ長な眼を見ていると、また声を掛けられた。
「おい!」
僕はハッとして我に帰る。そして改めてその人を見る。
染めることではでない綺麗な蜂蜜色をベースとし、所々少し濃い色の入った金色の、肩につくかつかないかぐらいの髪。
鼻筋もスッと通り、全てのパーツがバランスよく並んだ顔。
テレビでも見たことがないような整った顔を見て、僕は、この人が実は別世界の人だと言われても納得してしまいそうだ、と何処かズレた考えを起こし始める。
「聞いているのか!?」
……あ。
「はい!なんでしょう!」
「ここで何をしている」
「えっと…迷子になりました!」
あ、そうだ。僕迷子だったんだ。
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