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☆prologue☆
いつもの定期検診。
一通りの検査を終えた憐は、問診のためにに、診察室のドアを開けた。
「失礼します。」
「こんにちは、高邑さん。その後お変わりはありませんか?」
いつものように、穏やかな笑顔で四ノ宮(しのみや)医師は、高邑 憐(たかむら れん)
を迎え入れた。
憐は少し迷ったが、自分の手首に未だ残る手錠の後を見て、観念したように告白する。
「…実は少し前に手違いでアルコールを摂取してしまって、軽い発作を起こしました。」
「そうですか…でも以前のように落ち込んではいないようですね。何か心境の変化でも、有りましたか?」
憐を取り巻く雰囲気が優しくなったのを、四ノ宮医師は敏感に感じ取った。
「えっと…」
突然の鋭い問いに、憐は言葉に困ってしまう。
「ふふふ、隠さないで下さい。貴方の心のケアが私の仕事なんですからね。」
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