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 そんな秋のある日だった。  父親が訴えられるという事件が起きた。父のプロデュースしたCMの内容が、ライバル社のCMと酷似しているという指摘を受けたものだった。 「大丈夫だよ」  そんなニュースを受けても父は落ち着いていた。お父さんは何も悪くない。大丈夫。すぐに疑いも晴れるから。笑顔を向け、頭をポンポンと叩いてくれた父の笑顔は、今でも忘れることができない。その態度から、秘策と言うべきか、疑いを晴らす根拠のようなものを持ってるように感じられた。  不安に思うことは一切無かった。実際、母も普段と何ら変わることはなかった。
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