6942人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
「じゃあ部長。とりあえず、勝負しませんか?」
「勝負?」
「ゲームに僕が負けたら、今日のところは帰ります。でももし僕が勝ったら、ひとまず今日出掛ける許可はもらえるって事でどうですか」
それって…棗くんが勝てばこれからデート出来るけど、もし負けたら今日はこれでサヨナラって事?
……そんなの嫌だ!
「ねぇ棗くん、ゲームなんてやめようよ…」
「ふーん、ゲームね。何で勝負する気?」
「部長が決めていいですよ」
「へぇ。じゃあ…梶真、チェスは出来る?」
「チェスですか。一応、出来ますよ」
パパが得意気な表情でチェスを引き合いに出した瞬間、棗くんの負けが決まった気がした。
何故かって、パパはやたらとボードゲームに強い。
しかも、将棋とチェスは相当強い方……だと思う。
「じゃあ、勝負しようか。まさか梶真がチェス出来るだなんて思わなかったな」
「部長が負けても、文句は言わないで下さいね」
「もちろん。そっちもな」
パパも棗くんも、互いに自信があるのか一歩も引かない様子。
むしろ、二人ともこれからの勝負にワクワクしているようにさえ見える。
棗くんとの貴重な週末のデート。
何日も前から、凄く楽しみにしてたのに。
……おかしな提案しないでよ、棗くん。
最初のコメントを投稿しよう!