近距離バトル、勃発

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「じゃあ部長。とりあえず、勝負しませんか?」 「勝負?」 「ゲームに僕が負けたら、今日のところは帰ります。でももし僕が勝ったら、ひとまず今日出掛ける許可はもらえるって事でどうですか」 それって…棗くんが勝てばこれからデート出来るけど、もし負けたら今日はこれでサヨナラって事? ……そんなの嫌だ! 「ねぇ棗くん、ゲームなんてやめようよ…」 「ふーん、ゲームね。何で勝負する気?」 「部長が決めていいですよ」 「へぇ。じゃあ…梶真、チェスは出来る?」 「チェスですか。一応、出来ますよ」 パパが得意気な表情でチェスを引き合いに出した瞬間、棗くんの負けが決まった気がした。 何故かって、パパはやたらとボードゲームに強い。 しかも、将棋とチェスは相当強い方……だと思う。 「じゃあ、勝負しようか。まさか梶真がチェス出来るだなんて思わなかったな」 「部長が負けても、文句は言わないで下さいね」 「もちろん。そっちもな」 パパも棗くんも、互いに自信があるのか一歩も引かない様子。 むしろ、二人ともこれからの勝負にワクワクしているようにさえ見える。 棗くんとの貴重な週末のデート。 何日も前から、凄く楽しみにしてたのに。 ……おかしな提案しないでよ、棗くん。
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