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放課後、機械めいた巨体が二つの影と向かい合っていた。
魔剣学園は午前中に授業が終わるので、実質的な時間はまだ二時。
日は高い。
二つの影は望と希の双子で、機械めいた巨体はドミニクである。普段は見られないような取り合わせだが、最上階の空き教室なのでそれを見て怪訝な顔をするような者はいなかった。
「…それで、何をお話すればよいでしょうか」
先に切り出したのはドミニクであった。
邪視を携えた単眼は柘榴石のような輝きを秘めて、目の前の双子を写し込んでいる。
「エディターシリーズの天使って何」
単刀直入、他人とのなれ合いをひどく嫌う希は、一言めから切り出した。
ドミニクは、ほんの少し何か思案するような素振りを見せた後
「まず最も一般的な部分からお話ししましょう」
と前置いて話し始めた。
「【エディターシリーズの天使】とは“エディタ・マグニフィカ”という一人の天使を雛形として造られた天使達を言います」
「造られた…?」
希は眉を潜めると、本来聞きたかった部分ではない箇所に問いを放つ。
「…貴方たちは、地上にて代を重ね、生まれ落ちた堕天使でしたね」
問いの理由に気づき、一瞬の沈黙。
それはなんだか、古いパソコンが単語の検索に戸惑うような印象を双子に与えた。
「天使には、大きくわけて二つの生まれ方があります。一つは貴方たちのように、親がいて人と同じように生まれる者。
生まれ方は…人と違うこともありますが、親の素質や因子を継ぐという点では同じです」
ドミニクは、何だかそれが罪であるかのように、普段ほとんど表に見せない感情をほんの僅かに言葉尻に乗せ、何かに遠慮するかのように
「私も、ですが」
と添えた。
「もう一つは目的や役職に合わせ能力などを調整し造られる天使。
タランチュラ先生はそういった天使です」
「へえ、見た目的には逆っぽいけど」
機械的な体を持つドミニクと、羽根さえ抜かせば人間にしか見えないタランチュラ。
荒っぽい希の言葉も仕方がないといえる。
「そういった造られる天使も、また二種類に分かれます。一つは、つま先から羽根の先までオリジナルの…そうですね、こういっては何ですが、神によるハンドメイドの天使」
ですがこれには手間も労力も係り過ぎると、さらに説明を続けた。
「もう一つは…優秀であったり、能力に需要のあるオリジナル天使の複製…つまりコピーです。
無論、役割や使命によって容姿や能力を調整されますが」
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