第二十一章:宵華

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暫し、優姫とキクナは見つめ合うと笑みを浮かべた。 『久しぶりですね。優姫』 「はい、長い間、神和院を留守にしてしまい申し訳ありません。」 『そうですね。しかし、こうして元気な姿と子宝に恵まれたようで、安心をしています。そして、よく生きていましたね。』 「はい・・・」 すると、キクナとアキハが入れ替わるとアキハの目には涙が溢れ出していた。 「ユウキ・・・無事だったのね。」 『えぇ、アキハ。長い間一人にさせてしまってごめんなさい。』 その会話を聞きながら晃はミュリゥを探す。しかし、ミュリゥは既にミリアムの膝に居たので、手持ち無沙汰になってしまった。最近、ミュリゥを膝に乗せている事が多かった為がどうにも落ち着かない。 そんな事を思っていると月輪神夜の剣霊である月姫が姿を表し、無言で晃の膝に腰を下ろした為、晃は笑みを浮かべて頭を撫でると月姫のお腹に手を回した。 暫く優姫がアキハと会話した後、キリハとも会話をして晃達の下へ戻ってきた。 「次の人が待っているかわ変わるわ。そうでしょ? 「あぁ」 そう言って晃はヒューリの背中を軽く押した。 「こ、晃?」 「ヒューリさんも心配を掛けた人がいるでしょ?」 「ヒューリ君、リスティーさんもずっと心配していましたよ。」 セレナの一声で意を決したようでヒューリは立ち上がり月光鏡の前に立った。 『ヒューリ・・・』 「はい、母さん。長い間、連絡もせずに申し訳ありませんでした。」 『・・・本当に・・・でも良いわ、貴方の顔を見たら言いたい事も全部吹っ飛んでしまったから・・・けれど、よく無事だったわね。それにちゃんと会えたのね。大切な人に』 リスティーが差す大切な人とはセレナの事だろう。彼女の方を見ると頬を赤く染めていた。だが、ここでちょっかいを掛けると蜂の巣にされる事、必至なので敢えてスルーする事にした。
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