5.◇Something  old◇

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わたしは海沿いの歩道を彼に手をひかれて歩きながら、止まらない涙に辟易していた。 「泣くなよカレン」 「泣くわよ。何年待ったと思ってるのよ」 「君が俺の携帯を全部ブロックしたままだからだろ?」 「そうすれば、焦って早く来てくれると思ったからじゃない」 「全く勝手だよ。勝手にいなくなったくせに」 わたしは小さく彼の名前を呟いた。 毎日毎日、お祈りみたいに口の中で唱えていた名前を、本人に向かってまた呼べるようになる日がくるなんて、夢のようだ。 「結婚しようカレン」 「嫌よ、こんな計画性のない男」
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