プロローグ

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 砂塵に混じった鮮やかな火の粉が、銃と人の成れの果てを残す灰燼の荒野に、黒煙を纏って舞う。 「こちらルフゼロ《メジヌン》制圧を完了」  ノイズの粒子にざらついた声が響き、一陣の風が立ち込めた砂煙を払うと、たった今最後の敵に死を与えたであろう、人型の機動兵器が佇んだ姿を現す。  ーー熱を帯びた鈍黒い機体に弾け飛んだ血が蒸発し、辺りに鉄の臭いを撒く。  ここは砂漠の国のどこか。  声の主は遠い大陸からやって来た、恐怖を根絶やす為の兵士。  声の主が乗っているのは、正義を振りかざす為の殺戮の兵器。 「ルフゼロ《メジヌン》、これより帰投する」 「ーー自由は常に銃と共に」  やがて国是を末筆に添えると、黒鉄の騎士は踵を返し煙に消えた。  後にはひしゃげた戦車の砲塔が、赤く染まってギイギイと揺れている。  それは何かを叫び続けた余り、喉から血を吐いて自らを汚す、或いはトードリリーの様だった。
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