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淡々と私の紹介も終わり、ここでまた曲調が変わる。
『お二人の出会いは、8年前の春。美雪さんが大学から始めた弓道がきっかけとなりました。』
大学時代の2人の写真が交互にうつされていく画面。
一緒に映っているのは、まだ1枚もない。
『お互いの第一印象は、成人さんいわく「明るくてかわいい人だなあ」、美雪さんいわく「怖いけど頼れる人だなあ」と思われたそうです。』
「ウソつけよ。」
「それはシゲちゃんもでしょ…!」
「さすがに第一印象はここでは言えねえだろ。」
「だね……。」
8年前の写真、弓道部のみんなと大いに笑う私。
だけど、自分でも恥ずかしくなってしまうくらい、私はある一方向ばかりを見つめている。
私の大学4年間。
それに加えて社会人になってからの1年間。
通算5年にも渡って、私の心を独占した彼。
もちろんそれは、今私の隣に座っている彼ではなく、新郎同僚席に3人並んで腰掛けている中の1人。
私の親友の、……恋人。
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