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だんっとテーブルを叩いたら、千鶴さんに水がこぼれると頭をはたかれた。
別にいいんじゃねぇのと軽く続けた千鶴さんを恨みがましく見上げると、なんでだか呆れた顔をされた。
いい年してるくせに(いつから居るのか分かんないってうちの部でも噂されてる、いわゆる主だ)金色に近い色で髪を染めてて軽くしか見えない千鶴さんだけど、目は確かだ。
それに結局いい人なのだ。半泣きの俺が思わず頼ってしまったくらいには。
その千鶴さんに、そんな顔をされるとものすごい居たたまれなくなる。俺、そんな呆れられるような話、してましたっけ?
「……まぁ頭使って考えてみたら?」
「なんでですか、教えてくださいよー」
「あほ。俺が教えたってそれがホントにお前にとっての正解かどうかなんてわかんないだろ、決めんのはお前なんだから。話くらいならまた聞いてやっから、ちゃんと考えろ」
……それは、ぐうの音も出ないほどの正論で。
分かってますもんと小さく呟いて、俺はそのままふて寝した。なんだかんだで優しい千鶴さんはよしよしと俺の頭を撫でてくれる。完璧に呆れたっぽい溜息もおまけで付いてきたけれど。
何故だ。
なんでこうなっている。
結局その疑問が俺の頭からは抜け出ないのだった。
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