再会

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 さっきの警備員が戻ってきた。余裕を取り戻した僕は、彼の胸のネームプレートをみる。 『田中』  田中さんは、モモからの伝言を僕に伝えてくれた。 「さよなら」 と。 「田中さん、僕をモモに会わせてください。さよならなら直接顔を見て言いたい。」 「それは難しいな。病院には規則があるし、他ならない彼女が会いたがっていないのだから。」 と、田中さんは憐れむように言った。  しかし僕は聞き逃さなかった。田中さんは『難しい』と言ったが『無理』とは言っていない。  ここは大切なポイントだよ、だって『難しい』は可能性を含んでいる言葉だ。
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