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普段の彼女の太陽のように溌溂とした雰囲気は何処へやら。
机に視線を落としたまま……注視してくる二人の視線から逃げるように、もじもじとしながらそう呟くように語る彼女。
ミシェルとセシルは顔を見合わせ……驚愕に目を見開きながらも、見たことのないジェシカのそんな様子に思わず笑みが零れてしまっていた。
「アルスって……あのイケメン君!?」
「おばさんはこの前初めて会いましたよね。
へぇ~…ジェシカのことが好きだったんですね。」
ミシェルによる全く容赦のない事実の指摘。しかもこれを全く悪意なくやっているというのが恐ろしい。
ふと伏していた目を少しだけ上げたジェシカ。視界に飛び込んで来るのは……テーブルの向かい側から、蒼い瞳で自身をじっと見つめているミシェル。
始めて見る者ならその美貌も相まって冷たさしか感じないだろうが…長年の付き合いの彼女には、その蒼い瞳には僅かに好奇の色が宿っているのが感じ取れた。
「な…なに…?」
「それでどうするんですか?」
「どうするって……?」
「え?付き合うのか付き合わないのかですけど…。」
「まぁまぁ待てミシェル、こういうのは捏ね繰り回しまくって初めて面白いもんだ結論を急いじゃいけねぇ。」
「たっくん…!?」
「今まで散々やられてきたからな……ここからは俺のターンだ。」
「たっくん!!?」
ミシェルとは違って確実に悪意しかない…と、リビングの扉を開けて壁にもたれ掛かる彼の二割増しになったニヤケ面を見たジェシカは確信めいたものを感じるのだった。
無駄に舞台チックな動きで自分の席に戻ってきた彼は…グラスを手に取り足を組んで背もたれに大きく体を預け、横目でちらとジェシカへ視線を向ける。
「それどぅえぇ?ジェシカお嬢はアルスきゅんのことをどう思っているんどぅあぁい?
まずは…そこから始めようジャマイカ。」
「その喋り方いつもの三割増しでウザいですね。」
「なんで味方の俺を殴りつけるの。」
「素直な感想です。どうぞ続けてください。」
同盟がいきなり空中分解しそうになったが、ここで美味しい獲物を逃してしまう程拓也もバカではない。
心に深い傷を負いながらも彼は一つの咳払いで誤魔化して空気を作り直し……今のやり取りがツボに入ってしまったセシルの笑い声をBGMにしながら更に劇場チックに……。
「んで結局アルスのことどう思うんよ。」
続けようとしたが、早々に飽きた様で結局いつもの口調で彼女にそう問いかけるのであった。
彼のそんな問いに…ジェシカは分かりやすく頬を染める。
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