第1章

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 帰宅しているのは玄関に靴があったので分かっていたのに、リビングに明かりが点いていないので別の部屋にでもいるのかと思った。 「ただいま、…どうしたんだよ、電気も点けないで」  リビングのソファで膝を抱えて頭を埋めたシェリルに声をかけた。 「お帰りなさい」 「具合悪いのか?」  やっと顔を上げたが、いつもと様子が違うので心配になって横に座って額に手を当てて熱の確認をしたが、特に熱は無いようだ。 「体調は何ともないわ。あのね、アルト、その…」  言いにくそうに珍しく口ごもるので、続きを言い出すのを待つ。 「…今日、仕事が早く終わったの。それで、たまには私がごはん作ろうって思ってやったら失敗しちゃって」  話ながら少し涙ぐむのが見えて、バカだなぁと笑い出したくなった。  シェリルが俺のためにやってくれて、それが失敗したからと悔しくて泣きそうになっている姿があまりにも可愛くて。  ここで抱き締めたりしたら歯止めが効かなくなりそうなので、まずはキッチンの状況を確認しておくことに。  帰宅してから微かに焦げ臭いのは感じていたので想像はしていたけれど、正直予想を越えていた。  片付けのことよりも、ケガなどしてないだろうな?と、そっちの方が気になる。   指先などを見た感じでは、切ったりヤケドなどはしていないようだ。
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