自殺した彼女の幼馴染み

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子供の頃の約束とはひどく無責任なものだ。僕の場合は「何があっても君を守る」だった。その「君」にあたる彼女が…自殺した。この彼女というのは代名詞のsheであって恋人の意味ではない。僕はただの幼馴染みだ。そうただの幼馴染みだった。彼女が自殺するほど追い詰められていたことも知らず、ましていじめのことなど気付きもせず、傍観者にすらなれなかった。 僕がいじめのことを知ったのは彼女からメールが届いたからだ。受け取ったのは自殺の日の翌日だから、あの世からのメールということになる。自殺の実態が生々しく語られたそのメールは驚きを超えて恐怖ですらあった。イタズラでここまで書けるものではない。彼女の遺書にいじめに関する記述はなかったが、いじめの有無を問う緊急アンケートがあった。僕は彼女からのメールのとおりに答えた。しかし学校の調査委員会はいじめはなかったと結論づけた。 何も無かったかのように時間が過ぎる。アンケート結果を握り潰したやつらが教壇に立っているのかと思うとまじめに授業を受ける気にはならなかった。
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