4404人が本棚に入れています
本棚に追加
/392ページ
「空君、今日も泊まっていく?」
急須に淹れた温かいお茶を湯呑みに淹れながら、少し恥ずかし気に聞いてみた。
すると、空君は当たり前と言わんばかりにニッコリと微笑んでくれる。
「もちろん、泊まっていくつもり。だって俺のマンションより里香ちゃんの家からの方がオフィスまで近いんだから。本当、有難いよ」
空君のわざとらしい喜び方がおかしくて、つい声を上げて笑ってしまう。
それに単純に嬉しかった。あんな雰囲気になったけれど、それでもここにいてくれることが。
そして、また優しく、そして力強く私を安心させてくれる彼の温もりが待っている夜が近づいてくる。
彼は絶対にそれ以上先に進むこの境界線を越えてこない。
一生このまま超えないままでいるつもりなのか……
それとも、私に新しい男が出来るのを待っているのか。
自分が、その男になるつもりはないのかな。
それはやっぱり言えない理由があるのか……
最初のコメントを投稿しよう!