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「食べよっか」
空君が呟いた言葉にわざと返事をしない振りをして、食事を再開させることにした私。
その雰囲気に戻ったと安心したのか、空君もゆっくり頷いて私にお茶のおかわりを催促した。
この時、もっと踏み込んでいれば私は空君が今までどんな道を歩んできたのか知ることが出来たのかもしれない。
でもそれをしなかったのは、もっと心が深い仲になるときっと私の醜い部分をいつしか空君にも知られてしまう。
そうなった時が怖いんだ。
慎也に見放されて、もしここで空君にも見放されたら私はもう奈落の底に落ちてしまう。
せっかく差し伸べられた手を離されるのが怖い。
それが怖いから、私は安全な方法を取っているんだ。
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