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またそのまんまの感情が顔に出て空君に訴えてしまいそうになる。
でも、ダメだ。
さっき悟ったばかりじゃないか。
こういうのが相手を困らせるんだ。
空気を読む人間になれなきゃ、私はいつまでたっても成長しないまま。
俯きかけていた首を上げ、空君と真正面から顔を合わせる。
私よりずっと表情が豊かな彼に向かって微笑み返した。
「食べたら着替えを出すね。今日は冷えるからくっ付いて寝た方があったかいかも」
「ははっ、人間カイロか。いいね、それ。楽しみ」
身体で繋ぎ合えなくても、こうして心があったまればいいじゃない。
そう自分に言い聞かせた。
私にとって空君はそんな存在だ。
一瞬じゃなく、カイロみたいに冷え切った心も肌もじわじわと暖めてくれる。
きっと、一生そんな存在じゃないかって、そう思う。
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