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- viewpoint change -
「来ると思っていたよ、『色欲(ラスト)』」
何もない静かな世界、その場所を例えるならばその言葉以外に例える言葉は見つからない。
通ってきたと思われる道は消えていた。これではもう戻ることすら許されない。
どこまでも続く世界、どこまで広がっているのかもどこかに終わりがあるのかもわからない場所に、白と黒、そして若干の赤を交えた色彩がある。
3色に彩られた衣装を纏う青年は、対峙する男の記憶から気味の悪い存在感を醸し出すも、浮かべる笑顔は昔の記憶のまま変わらない。それが男にとっては不気味で、苛立ちと強い殺意を呼び起こす。
しかもそれほど時間の経過をしていない炎上するクエストでは男を名前で呼んでいた目の前の人間が、突然他人行儀に名前を呼ぶことが、男の短い神経をさらに逆撫でする。
「散々胸糞悪ぃBambola(バンボラ)《人形》を相手にさせやがって」
「全員退けるとは。七つの大罪の力とうまく適合しているようだね。君は」
言葉通り“全員”であったならば、これ程冷静に話し合う事不可能だっただろう。
そのただ一点においてのみ、男は口に出さないが目の前の青年に対して安堵する。
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