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- viewpoint change -
見渡す限り出口らしき出口は見つからない。
(ここが…終わり?それとも行き止まり?)
それともどこかで間違ってしまって、前に進むことすら出来なくなってしまった。そういう可能性はあったけど、考えるのが怖くて慌てて浮かんできた答えに首を振る。
「何かの根のようだな」
ぐるりと辺りを見て来てくれた正親さんは大げさに溜息をつくと、大きなあくびを1つ。
「こんなときまでのん気だよなあんたも」
「うるせぇな」
(正親さんは相変わらず…だけど……)
どうしたんだろう、何となく斗真くんの元気がないような気がする。
(さっきの場所でダヴィンチコードを何回か使っていたみたいだし、疲れたのかな)
ただでさえ1つ解くのも大変な問題を、緊張するあの場面で、しかも広範囲攻撃をするとなると考えもつかないような問題を解かされたのかもしれない。
だから行き止まりのこの場所についてしまって、正親さんと千尋さんが辺りを探ると言った中、斗真くんだけがずっと黙ったままだったし。
「あの…斗真くん」
「……何?」
私の声に反応はしてくれたけど、瞳は何かに迷っているような不安定なもので、だから思わずかけようとしていた言葉も忘れてゆっくり近づこうとすると、動きを制止するかのように間に影が見える。
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