プロローグ

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 咲子は、大学時代に知り合って付き合い始めた。付き合って1年が過ぎた頃、咲子が家に住み着くようになり、いつの間にか同棲が始まった。互いに金も無く、引越し出来るような状況ではなかった為、この家にずっと住む形となっていた。  咲子は、殺風景な俺の部屋に色んなものを置いた。家具やら置物やら人形やらを置き、荷物が増えるたびに咲子との繋がりが増えて行くようで、とても嬉しかった。  …今ではその面影の全て がなくなり、3年前の状態に戻っていた。  別れた原因は、咲子の浮気だった。  仕事を始めてからというもの、忙しさにかまけて私生活にあまり関心を示さなくなった。  彼女を蔑ろにした。  それが、咲子が離れていった原因だった。  浮気だった、と言うよりは本気が変わった、と言った方が正しいかもしれない。  そして彼女は、俺の親友と俺の部屋でいたしていた訳ですよ。  連れ込んだってのが正しい。  現場を目撃した俺は、何となく予感があったから、その場を繕う事は簡単だった。  気付いたところで後悔しても、後の祭りである。  そして、咲子は出ていった。  親友も彼女も失った今、俺には仕事しか残っていない。
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