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「黎子さん、今日見えない。タートルネックなんて脱いでください」
どうしたら大人しく私が脱ぐと思えるのか、逆に訊いてみたい。
やぶ蛇が怖いので、もちろん言わないけれど。
それでも、あまりにもうるさいので、気が向けばチラ見せくらいはしてやるときもある。
さすがにタートルネックのニットをまくり上げるなんてことまではしないけれど。
それから、きっかり毎日というわけではないというのがポイント。
付き合いが長い猪瀬は、私のことを熟知している。
猪瀬が言ってくるのは、疲れて朦朧としているときか、機嫌が恐ろしく良いタイミング。
場所も絶対他の人には見えない場所で、まぁいいかとついほだされてしまうのだ。
だからといって、つい流されすぎていてしまっていたことに私はようやく気が付いた。
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