あまくて、あいまいで、あたたかい

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<プロローグ> 日本の古典「源氏物語」を初めて読んだのは、たしか14才くらいの時だ。 僕は、光源氏と紫の上のくだりがとても好きだった。 男なら誰だって、こんな風に理想の女性をはぐくみ、育ててみたいと思うのだろう。 しかし、もうその頃、自分の性癖を理解していた僕がなりたかったのは、残念ながら紫の上の方だった。 育てられて、導かれて、愛される……って、いったいどんな気分なんだろう。 そんなもやもやした思いを抱いたまま、でも、そんな大した男に出会うこともなく、僕は少年期を過ごした。
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