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ーーあばばばばばば!
樹に抱き締められる!?
え?何で!?何でこーなった!?
「暴れるなって!」
ちょ、耳元で喋るな!吐息ががががが!
「大人しくしてろよ…」
ちょっと掠れた低い声が耳元で響く。
「あばばばばばば!」
「何言ってんの?」
クスッと笑い声が耳元で聞こえて、何かもう、どうしていいのか解らない。
二宮 樹…コイツの事は、初めて出会った時から気になってた。
全身包帯の痛々しい姿だったのも衝撃的だったけど、それ以上に衝撃的だったのが、このオレの目を綺麗だと言った事。
左右で目の色が違うオレは、ずっと気味悪がられてた。
それこそ、両親ですら、あまり目を合わせてくれない程に。
それなのに、綺麗だと言った。
もっとこの目を見て欲しいって思ってるのに、中々近付けない。
何故かいつもみたいに強引に近付けない。近付くと上手く躱されるっていうのもあるんだけど…
だからいつも、遠くからしか見てないけど、樹の所作や談笑してる顔とか、堪らなく好きだと思った。
もっと仲良くなりたいと思った。
…そういえば、怪我が治ったら一緒に飯を食おうって約束してたんだけど…覚えてるのかな?
ちらり、と横顔を盗み見る。
…見なければ良かったとすぐに顔を逸らした。
近過ぎて、直視出来ない。
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