ギラギラ

20/22
1266人が本棚に入れています
本棚に追加
/417ページ
ーーあばばばばばば! 樹に抱き締められる!? え?何で!?何でこーなった!? 「暴れるなって!」 ちょ、耳元で喋るな!吐息ががががが! 「大人しくしてろよ…」 ちょっと掠れた低い声が耳元で響く。 「あばばばばばば!」 「何言ってんの?」 クスッと笑い声が耳元で聞こえて、何かもう、どうしていいのか解らない。 二宮 樹…コイツの事は、初めて出会った時から気になってた。 全身包帯の痛々しい姿だったのも衝撃的だったけど、それ以上に衝撃的だったのが、このオレの目を綺麗だと言った事。 左右で目の色が違うオレは、ずっと気味悪がられてた。 それこそ、両親ですら、あまり目を合わせてくれない程に。 それなのに、綺麗だと言った。 もっとこの目を見て欲しいって思ってるのに、中々近付けない。 何故かいつもみたいに強引に近付けない。近付くと上手く躱されるっていうのもあるんだけど… だからいつも、遠くからしか見てないけど、樹の所作や談笑してる顔とか、堪らなく好きだと思った。 もっと仲良くなりたいと思った。 …そういえば、怪我が治ったら一緒に飯を食おうって約束してたんだけど…覚えてるのかな? ちらり、と横顔を盗み見る。 …見なければ良かったとすぐに顔を逸らした。 近過ぎて、直視出来ない。
/417ページ

最初のコメントを投稿しよう!