エピローグ

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岬を抱きながら、テーブル席に腰を下ろす。 子供を持つ親はこんな感じなんだろう。華を見てて思う。岬から目が離せないし、叱ることも多いけど笑って話す姿が印象的で。なんだかんだ、子供には父よりも一緒にいる時間が長い母の方が好きなのだ。 岬を抱いていると感じる温もり。 この温もりがなんとも言えない優しい気持ちになる。 「まいちゃんなにたべるの?」 「岬くんは何食べたの?」 「ぼくはスパベッティたべたよ」 スパゲッティがうまく言えない岬。 だけどなんと言っているのかはなんとなくわかる。 こんな会話も愛おしい。 そう思いながらメニューに目を向けると、向かいからシャッター音が聞こえた。 「まいさん、今すごい、綺麗だよ」 「え?」 「なんか想像しちゃった。僕とまいさんが夫婦で子供がいたらこんなふうに写るのかなって。」 またしても麻衣子の顔は赤く火照り出す。 将来を約束した仲ではある。自分たちだけで。左手の薬指にはまだ何もないけど、静流が予約済みだ。 「早く、一人前になりたい。なって、まいさんと結婚して、いずれ子供を作って、いろんなところに出かけたい。楽しみだなぁ」 最近こう言うことが増えた。 麻衣子も静かにそれを聞いているのだけど、麻衣子も言葉にはしないけど想像することがある。自分の将来を。 「待っててね、まいさん」 静流が麻衣子の左手を取って優しく包むように握った。 「ねぇ、なにたべるの?」 岬の言葉はいつだって現実的だ。 - f i n -
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