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この件が表沙汰になれば、彼女が傷付くのは必須。
こちらが大事にしないと踏んでの若手社長のセリフに、おおやけになってダメージを喰らうのはお互い様だと言外に匂わせる。
のんびりした口調の中にも、鋭く相手の弱い部分を突いている。
さすがは部長だと思った。
「ってことで契約の詳細を決めましょうか」
契約するかどうかを商談に来ているのに、そこをすっ飛ばしてのこのセリフ。
「……はは」
力無く笑った若社長が、話が進むにつれ段々と追い詰められていく様子に、痛快な思いをした事は言うまでもない。
キリのいい所で切り上げて、後は任せろという部長に礼を言ってホテルに戻る。
目覚めた彼女が一人で泣いていないか、たまらなく心配になってしまった。
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