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----- 2015/12/29 --------------------
水平線に広がる陽炎を調査していたヴェセル船団。
前回の定期連絡では、日増しに陽炎は大きくなりこちらに迫ってきているとのことだった。
現場に到着した私は、まずバラバラになった船の残骸を発見した。
そして問題は船員だ。
船員は全員死亡、ただし・・・
死亡した船員が全て、「二人」になっていた。
----- 2015/12/30 --------------------
これはうちの爺さんの話なんだが、
南のジャングルでポポパ教の寺院を探してた。
爺さんは2年近くジャングルを探しまわったが寺院は見つからなかった。
建物らしいものは痕跡一つ無かった、と聞かされた。
しかし、だ。ポポパ教の寺院が人間が入れるサイズとは限らないだろう。
俺が思うに、カタツムリの背中に乗ってるんじゃないか?
寺院が。
----- 2015/12/31 --------------------
いやね、まさかアリを食べる日が来るとは思ってなかったんですよ。ええ。
山から出られなくなった一週間ぐらい経ってるでしょうかね。
お腹も限界でね。いやほんと。
幸いにして川があったんで水は大丈夫だったんですがね。ええ。
食べ物が無くってですよ。
いや、困ったことに食べ物がないんです。
木はやたら硬いし実なんてついてない、地面には土と石と水だけですよ。
それで、出られなくなった日からずーーーっと見かけてたアリに目をつけたわけですな。
いっぱいいてちょっとでかいんです。
小指ぐらいかな。
気持ち悪いですよ。
でもグミみたいじゃないですか。
それで、ええ、さっき、我慢できずに食べたんです。
口の中でもがいて足が動くのが気持ち悪かったです。
でも、羊羹のような甘みが口に広がったんですね。
夢中で食べましたよ、久方ぶりの食料ですからね。
ひとしきり食べて、そうですね、今30分ぐらい経ってます。
よくしゃべるなぁ、と思われますか?
自分でもよくしゃべってると思います。
でもしゃべりたくなって。ええ。
だってほら、たぶんもう喋れなくなりそうで。
なにせ、
その、
足の先から、
アリになってきてるんですね。
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