祖国の守り手、司令官の帰還

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◇ 「フィディコミッサリオ、第3師団がこちらに向っている」 「そうか」  特に何を指示するわけでなく、椅子に座ったまま時が過ぎるのを待つ。十数分で尖兵中隊が市川東の連合軍傍を通過していく。 「第五司令部、第四十四司令部。自衛隊を差し止めましょうか?」  夕凪が悠子にどうするのかを問う視線を送る、だが彼女は何も発さない。それが答えだと応答した。 「そのまま通しなさい」 「了解です」  本隊が連合軍を警戒しながら姫路へ入る、目指す先は司令部を落とされた百将団だ。目的がはっきりとするまで手出しを禁じる、そして現場からの報告が上がった。 「クァトロ戦闘団より第四十四司令部。自衛隊が百将団残党に迫っています」  悠子が動く、コムタックの発信をオンにして直接答えた。 「マリー中佐、第3師団の真意を問うのだ」 「ダコール!」  指揮車両を下車してマリー中佐が先頭車を停める。攻撃を命令まではされていないのか、素直に停車した。 「クァトロのマリー中佐だ。師団参謀と話がしたい、取り次げ」  三尉は了解して幕僚を呼び出す。彼ではどうしたら良いか判断が付かないのだ。image=497679272.jpg
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