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こんなにはにかみながら笑う先輩の顔なんて、今まで見たことない。
いつも睨んでいる瞳もぶっきらぼうな事しか言わない口も、くしゃくしゃになって笑っている。
それは……私達の間に初めて流れた空気だった。
こんな私でもわかる_____
私、先輩に……
「せ、先輩……」
「んだよ」
「先輩の、好きな、人の……」
”名前を教えてください”
その一言が言いたいのに言えない。
もう極度の緊張に襲われている私はこの震えは嬉しいものなのか、答えを聞く怖さからなのか、そんな正常な判断さえも出来ないでいた。
そうなるくらい、今のこの現状が私には信じられなかったんだ。
でも、先輩はそんな私の事なんかお構いなしに次を言わせようと迫ってくる。
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