雲間から覗く光

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どれほど集中していたんだろう。 まだ研究員たちは来ていないけれど、我に返って立ち上がった。 本当に久々に見る梅雨晴れは外の芝生に雫を残しているけれど、朝日に輝いて綺麗だと思った。 「Colorful paletteやってるかな」 外を眺めながら、遠くに見える建物を見る。 腕時計を確認すると6時を指していた。 あそこのカフェは AM06:00~PM22:00までやっている。 お財布を手に研究室を出た。 朝の大学構内はすごく寂しいものだ。 人は少ないし、ましてやこの時間には誰も来ていない。 ヒールの音が虚しく響く。 外は湿気があって、英子はまた怒るだろうと思うと少しおかしくて口角が上がってしまう。
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