悪友

2/3
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
呼び止められて、振り返るとそこには小学生の頃から付き合いが有る友人が立っていた。 結構、久し振りに出会った。 似合わない事に、モシャモシャした小さな白い花と(霞草だっけ?)他に色とりどりの大小の花が集められた花束を手にしている。 おまけに何時もはくたびれきって、何年物だって聞きたくなるトレーナー姿なのに、今日に限ってこざっぱりとしている格好だ。 直ぐにピンと来た。 「何だよお、やっと良い子が出来たの? 長かったねえ、お一人様時代」 会えば変わらず悪態を吐き合える仲だ。 肩を抱いて早速からかってやった。 「お、お前……」 恥ずかしいのか、眼を白黒させてどもり気味だ。 ま、最も見られたくない相手に出会っちゃったって所だろうね。 ご期待通り、からかいまくってやろうっと。 「まあ、花束何か持っちゃって。相手は相当可愛い子何だねえ。ね、ね、初デート?」 女っ気の薄いつーか、無さ過ぎた友人だ。 緊張に体が強張っているのが良く解る。 「でもよ、デートの始まりで花束渡すのは古臭いし、気が利かないぜ。女の子は花を萎れさせたくないだろうし、デートは楽しみたいしで悩むぜえ」 「だ、だって鉢植えは……」 「それこそ色気無いし。お前、センスが変」 景気付けのつもりで背中を叩いて笑っていると、ますます奇妙な顔を向けて来る。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!