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「優真っ!!」
奇跡を願うあまりに、ついに空耳まで聞こえだした。
まだ、諦めていない自分に嗤ってしまう。
腕を引かれて顔を上げると、廉太がいた。
ついに幻覚まで見えるようになってしまった。
でも、廉太が来てくれるなんて、例え幻覚でも幸せだな。
そう思って、僕的に最上級の笑顔を浮かべた。
溢れた想いは言葉となって、僕の口から飛び出した。
「廉太が好きです」
「俺も好きだよ。……マフラーありがと。メッセージカード読んだよ。俺は優真のことが好きだから、お前のクラスメイトと同じものは嫌だと思って、つい……ほんとごめん 」
焦ったように早口でそう言った廉太の首には、僕の編んだマフラー。
ぽけーとしてたら、暖かいものに包まれて、気付いたことは二つ。
一つ目は、僕が抱き締められていること。
二つ目は、廉太が僕の幻覚でも幻聴でもなかったこと。
その事に気付いた僕は、再び微笑んだ。
最上級の上を行く笑顔で。
the happy end.
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