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 続いて端正な白蛇のような少年が両手を後ろで重ね口を開いた。うっすらと笑っているが、不吉な印象しか人に与えない。 「五王龍起です。自分は五王重工と進駐軍技術部の須佐乃男チームにいっていた。決戦兵器はほぼ実戦での運用可能な段階まできている。あとは最終の運転試験を待つだけとなっている。正操縦者候補のひとりとして、日乃元の国体を守るために全力を尽くす所存だ」  タツオは表情には出さなかったが、内心驚いていた。須佐乃男の開発はそこまで進行していたのか。膨大な数のロボット兵器を操縦するためには、極限まで精神と肉体を駆使しなければならなかった。10代なかばの者しか操縦者候補がいないのは、須佐乃男はたった6時間の運用で人の体内時間で20年から30年という歳月を操縦者から奪うからだ。この部屋にいる新任少尉の三分の一が一夜にして、青春を奪われるのだ。  軽くうなずくと逆島作戦部少佐がいった。 「あとの4名は関西から到着した正操縦者候補だ。天萬(てんまん)軍美(ぐんび)高校については、諸君もすでに知っていると思う。そこからきた最優秀の須佐乃男操縦者候補者である。各自、自己紹介を」
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