8 ライバル出現!?

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「大丈夫!わかってるから!!」 章が口を開きかけたタイミングで、由香は叫ぶようにそう言った。 「谷口がみのりを好きな事、わかってるよ。だってあんなに……みのりには態度が違うし、みのりと居る谷口は本当に楽しそうだし生き生きしてる。そんな人を見つけたんだって思って、嬉しいよ」 章は由香の言葉を頭の中で繰り返し、そしてコクリと頷いた。 「ただ……」 「…………」 「それが私じゃなかったのが、くやしい」 「…………」 「みのりは良い子だから……文句のつけようがないのが……すっごい悔しい!」 由香は身を折りそう叫ぶと、はぁーと思い切り息を吐きだした。 「……あー、スッキリした」 「っ、」 「いつか、言ってやろうって思ってたんだよね。谷口がみのりの事好きなんだなって思い始めてから、さ」 由香は本当にスッキリした顔で笑う。 章はそんな由香に目を伏せた。 「谷口が、心の無いロボットみたいな氷点下男じゃなくなって、良かった」 「…………ひどいな」 「ふふっ。では、ひどい事を言ってしまったお詫びとして、心を見つけた谷口くんに“大変なお知らせ”してあげましょうか」 章を覗き込む様な体勢でそう言った由香は、ちらりと自分を見た章に意地悪くにやりと笑って見せた。 「今日みのりと一緒に作業してる、E組の坂本。あれ“男”だから」 「……!?」 「坂本かっこいいしね。実はみのりのこと可愛いって……」 章は由香が言い終わらないうちに教室を飛び出した。 由香は血相を変えて飛び出した章の後ろ姿を茫然と見つめ、それから苦笑を洩らす。 「……ま、これくらい、いいよね」 由香は呟くとぷっと吹き出した。
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