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「柏木さんと結婚されるんですね」
「ああ。そのつもりだ」
『失恋させるなら徹底的に』
あの時の考えは変わってない。
日村がどんなに奈緒に憧れても、
万に一つの望みも抱かせない。
俺は勝負の世界に生きる人間だから、
相手が誰でも容赦はしねえ。
「最初から期待なんかしてませんよ。
それに、柏木さんはあなたしか
見ていませんでしたから」
「当たり前だ。よそ見なんかさせるかよ」
ちょっとばかり自信を無くしたことは、
俺だけの秘密。あくまでも強気の態度を
貫いた。
「僕も芳賀さんみたいな、カッコイイ男を
目指します。さあ、行って下さい。
おめでとうございます。お疲れ様でした」
ポンと一つ肩を叩いて横を通り過ぎ、
日村が指したそのドアを開いた。
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