146人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
それから僕と幽亮さんは八尺様の主が秋子さんであると住職の空海さんに話した
最初、空海さんはあまり信じてない様子だったが
本人も認めた事を説明すると、ならばまた道祖神が壊されないように秋子さんを監視しておくと言ってくれた
そしてこの事件の怪異の元凶である
八尺様を封印した以上
僕と幽亮さんが他に出来る事は無く
そのまま村を後にするしか無かった
そして村から戻って数日後
空海さんから連絡が来た、秋子さんが早々に旅館を閉めて何事も無かったように村を去ったそうだ…
遂に僕らには何も出来ないままで…
そして、夏休みが終わってしまった、ある日の事
僕が何時もの様に事務所の整理をしていた時だった
「そうだ、直也君
この間、行った黒部村を覚えているかい?」
「えっ?
はい、覚えていますよ…」
「あの事件の後、あの村の過疎化が問題になってね
先日、建設工事が行われて
とうとう、あの辺一帯全てがダムの底に沈んだ様だよ
この新聞に書いてある」
「では、八尺様は…」
「さあ、ダムに沈んだことで道祖神の封印が壊れていれば自由になっているかもしれないし
もしかすると…そのまま封印されてしまったかもしれないし
実際の所はどうなったか分からないな」
「では結局は秋子さんの思い通りになってしまったんですね」
「いや、それが…
ちょっと、これを見てくれ」
最初のコメントを投稿しよう!