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幽亮さんが差し出したのは今、読んでいた新聞のある記事だった
その記事には富裕層向けの旅行会社が起こしたという観光バスの事故の事が書かれていた
その記事の内容によるとバスが横転して乗客に多数の怪我人が出たそうだが
いずれも軽傷
ただ唯一、死亡者が1人だけ出たと書いてあった
「この記事がいったい?」
「1人だけ出たという死亡者の名前を見てごらん」
その死亡者の名前は赤城 秋子とあった
「えっ?
赤城 秋子ってもしかして…?」
「そう、あの秋子さんの事だよ」
記事の続きによるとバスが横転した事により秋子さんはどうやら車外に強く飛ばされ即死だったらしい
だが不思議な事に秋子さんだけが車外に飛ばされた様だ
「しかも、まだ不思議な事があるんだ
そのバス事故の原因は運転手の不注意なんだけど…
事故を起こした運転手の話では
カーブを曲がった時に突然、2人組の女性の様な人影が見えた為にハンドルを切ったそうなんだが
運転手曰く、その2人組の女性の人影は長身で一方は片方の二倍もある大女だったと言っていて警察では運転手の精神状態や健康面などについて検査するらしい
果たして、この運転手が見たのは何だったのだろうね?」
その時、僕の頭に過ったのは幽亮さんのあの時の言葉だ
「あなたを神が許すとは思えない」
確か八尺様は守り神、神の一種の筈…
だとすると、もしかして…
「これは天罰なのかな…」
窓の外を見ていた幽亮さんのその呟きが僕には微かに聴こえた
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