第3章

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そして、またオレは思い知らされる。 キミが、本当にこの世からいなくなってしまったんだ・・・という事を。 (夢の中だけでもいい・・・冴子と一緒にいられるのなら・・・) ずっと、そう思っていた。 それでいいと思っていたけど・・・でも、オレは気づいてしまったんだ。 あの日失くしたはずの感情が、まだオレの中に残っている、という事に。 『寂しい』 両親が死んだ時、すでにそんな感情は捨ててしまった、と思っていた。 オレは1人でも生きて行けると思っていたし、寂しさに震える夜なんてひと晩もなかった。 でも、キミと出会ってしまったから・・・ まるで小春日和の淡い日差しのように優しく包み込んでくれたキミは、オレに2人でいる事の大切さを教えてくれた。 『寂しい』 キミは今、空の上で何を思っているのだろう? オレは・・・キミがいなくなってからずっと、どうしようもないほどの寂しさを持て余している。
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