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*参観日ですよ、お父さん・1*
最悪だ……。
この世の終わりだ……。
何が、どうして、こうなった……。
いや、この事態を招いたのは、俺自身なのは確かなんだけど…。
チラリとも、後ろを向く勇気が持てない。
いや、そんな勇気、今は不要だ。
それよりも、この最悪な事態を、どう切り抜けるかが問題だ。
冷や汗が、背中を伝い落ちる。
教室の戸が開き、国語の斎藤真由美先生が入って来た。
斎藤先生が教壇に立ち、手に持っていた教科書や名簿などを置くと、全員が立ち上がる。
「礼!」
日直当番の号令で、全員が一斉に頭を下げて一礼すると、タイミングを測ったように、授業開始のチャイムが鳴った。
それは、俺にとっては、地獄の始まりを告げるチャイムだった……。
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