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「由華、さっきから頬緩みっぱなし……」
「だって、見てるだけでのぼせてきちゃう……」
私は体に籠った熱をフーッと息にして吐き出しながら、手で顔をパタパタと扇いだ。
彼の視線がこちらを向く度に、心臓は落ち着きを失くして勝手に駆け抜けるし、
彼のクリアな声は私の中を突き抜けた挙句、金縛りみたいに私を動けなくする。
全身が発火したみたいに熱い……
「でも、リュウは危険だから近づいちゃだめよ……」
葵はそんな私を見て、釘を刺す様に言った。
「分かってるって……」
本当は分かってなんかいない癖に、
葵の忠告なんて右から左へと流して私は再びリュウに視線を注いだ。
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