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「今日伺わせてもらったのはね 渉夢君が今度結婚が決まったんだよ」
「渉夢がですか?」
渉夢君とは 虹渉と異母兄弟の2歳年下の弟君だという事は聞いていた。
「それで 一美さんを引き取るのと同時に あの実家を含む渉さんの相続の放棄を申し出て来たんだ」
「相続の放棄ですか?」
「そうなんだ。拓海君にはご実家の事は?」
「あ、虹渉からある程度の事は聞いてます」
「そうか。あの事件があってから 渉さんの遺産の相続の話は宙に浮いたままだったんだ。一美さんは戸籍上は正式の正妻だから相続する権利はある。
だけど 娘の虹渉ちゃんの事で逮捕されて 一時放棄させようと持ち掛けた。
でも 渉さんの息子の渉夢君もれっきとした法定相続人だ。
しかも その渉夢君を養育している。
だから 立派に服役を終えて出て来た一美さんの今後の行動で判断しようという話になってたんだ」
「それが 放棄になったんですか?」
「渉夢君から言い出した事らしい。一美さんは納得いってないようだけど 母親の面倒は俺が見るから 母の言葉は無視してくれって言ってたよ」
「そうなると 虹渉に全部の遺産が渡るって事ですか?」
「そう。当時は税金の事もあるから現金や株券や貯金などは法定相続分で分けてます。
土地建物 それから渉さんの場合は曲の著作権もあります。
著作権の場合は 相続の手続きはいらないので虹渉ちゃんの名前にしてあります。
その全部の相続を放棄したいと言ってきています。どうしますか?」
最後は 虹渉に聞いた。
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