第一章  叛逆の刃

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 見ると、そこに座る男には翼があった。  漆塗りのように、艶やかで黒い翼。  綺麗だと、思った。    男は僕の姿に気付き、乾いた笑いを漏らす。    ――君か。君は……いや、なんでもない。    男は僕のことを知っているようだった。  いや、あるいは知らないのかも知れない。  でも男は、何かを知っているようだった。    ――君は、私に何かを感じるのかい? この死にぞこないの私に。    僕は思ったまま、綺麗だと伝えた。    ――綺麗、か。    男はまた乾いた笑いを浮かべる。    ――この翼を綺麗だと思うのなら……君に託そう。    何を?    ――この黒い翼を。この私の……願いを。
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