第一章  叛逆の刃

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「サハラ。おーい、サーハーラー!? 起きろ猪突猛進ハゲぇ!!」    サハラと呼ばれた少年はそんな罵声に反応して目を醒ました。 「なんだよ誰だよ……」    サハラがベットから降り立つと、シャワーを浴びた後だろうか、濡れた髪の少年が立っていた。晴れ晴れとした顔である。 「今日は早めに起きてトレーニングするって言ったろー」 「お前と俺の『早い』は違うんだよアラン」 「うるせーなー」  アラン、と呼ばれた少年はそう膨れてみせる。  しかしアランは、そのオレンジ色の髪をばさっと掻き上げてにかっと笑った。 「じゃあ、俺ちゃん先に行ってるから!」 「あっ、ちょっと待てよおい!」  サハラの制止も虚しく、アランは部屋を駆け出していく。サハラは追いかけることはせず、ベットに改めて腰を下ろした。 「つーか俺ハゲちゃいねぇだろうが……」  先ほどのアランの言葉に反論しつつも、サハラは見ていた夢を思い出していた。  また、あの黒い翼の男だった。妙にリアルな質感を持った夢。夢の中で俺は幼く、男はひどく傷付いていた。あれが果たして本当に夢なのか、それともかつての記憶なのか。今の俺には判然としなかった。  感じている気怠さをどうにかするため、サハラはアランがそうしていたようにさっとシャワーを浴びる。そしてトレーニング用のウェアに着替えると、自室を出た。  サハラがいるのはユデックという名前の軍事基地だった。
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