心の鎖

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「いえ……、お待たせしました」 いつもの営業スマイルで謝り、グラスにお酒を注ぐと目の前の客に出すと 「悪い、ちょっとここを頼む」 近くにいた店員に頼み、自分はカウンター裏の休憩室を抜け、裏口から外へ出た。 そしてポケットから煙草を出すとおもむろに口に咥えると火をつける。 ダメだ、仕事に集中できない。 自分の不甲斐なさにため息が漏れる。 「サボり発見!」 突然、大きな声で言われ驚いた俺は反射的に咥えていた煙草を消す。 「珍しいな、お前がこんな所でサボってるなんて……」 言いながら俺の方へとゆっくりと近づいてくる声に 「別にサボってるわけじゃないよ。単なる休憩」 携帯の灰皿に吸殻を仕舞い込み平静を装う。 「休憩ね。ま、別にいいけど」 どうやらコイツには嘘や誤魔化しは利かないらしい。 .
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