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「あら。いいわね、夕希。とても良い顔」
お呪いが効いたのかしら、と少女のようにばあちゃんが頬に手を当てた。
いくつになっても、ばあちゃんはどこか小さい女の子めいた可憐さを秘めている。
「心配してくれて、ありがとう。一緒に居ると、幸せになれるし、俺も……出来るのかどうかは分からないけど、幸せにしたいやつなんだ」
はっきりと言ってみせた俺に、ばあちゃんは眼を丸めて、けれどすぐに、それはそれは嬉しそうに顔をほころばせた。
「良い子ね、夕希。わたしの一番、可愛い子。あなたが私は大好きよ」
それは、小さいころ、何度も何度も救われた、お呪いだった。
【聖なる夜の刈谷くんの昔語り】
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