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――“ピピピ……”
枕元の青い目覚まし時計が、朝7時を知らせている。
「うー、もう、朝?」
目を開けると、朝日が薄く射しこむそこは、いかにも男子の部屋。
紺色のカーテン。野球道具やバスケットボール、少年マンガにゲーム機などが並んでいる。
男子仕様の黒いベッドの中で目を覚ました天空翔(てんくう かける)は、右腕で両目をこすり、そのままあごを撫でると、ジャリジャリと髭の感触がした。
「あーー」
大きく伸びをした。
ベッドの中で、まずすること。
自分の体を触って確認。
特に下半身。
股間をちょっと撫でてみる。
今日も元気だ。
「うーー」
ベッドから出ると、軽く2、3回ジャンプ。
それからポールハンガーに掛けられた高校の制服を手にとって、パジャマから着替えた。
ネクタイを適当に結ぶ。
着替え終わると部屋を出て、台所に向かった。
そこでは母が朝食の準備。双子の妹の遥(はるか)は、お弁当を作っていた。
「おはよっ。今日も元気だったよ」
「おはよ。いちいち報告しなくていいから」
遥はチラリと翔を見ると、すぐ手元に視線を戻した。
「今日のお弁当は何かな?」
翔は遥の肩越しに手元を除きこんだ。
そこに置かれたお弁当箱の中味は、玉子チャーハンが90%を占め、ホウレンソウのおひたしとかぼちゃの煮物と焼き豚が隅に詰められている。
「今日はチャーハンかー」
翔の嫌そうな表情を見逃さなかった遥はすかさず牽制した。
「何か不満でも?」
「いえいえ。チョーうれしいっす!」
翔は大げさに喜んで遥のご機嫌取り。
へそを曲げられて昼飯抜きになったら大変だ。
「かけ……、じゃなかった、遥のチャーハンは世界一だ!」
「そうだろ? ……じゃない、でしょ?」
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