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三日目になっても、四日目になっても、身体が色を取り戻すことはなかった。
「どういうこと?」
つまり私はこの世に居ながらにして死んだも同然だった。
私の苦しみはそれだけでは終わらない。
「嘘でしょ?」
私が社内で一番可愛がっていた後輩と彼が親しげにタクシーに乗っている。
「この道……」
忘れもしない彼と愛を誓い合っていた場所に向かう道。
彼は平然と後輩を下の名前で呼び、応える代わりに肩に頭を乗せた。
「先輩、どこに行ったんですかね?」
「さぁ、オレにも分からないさ」
ドライバーがバッグミラーに目を移す。
彼の愛を後輩が一心に受け取っている。
はめられた。まんまと騙された。
私は二人の間に入り、唇が重なるのを阻止しようと試みた。
「見られていると思うと萌えてくる!」
ドライバーが前を向いた。
「部長、私もです」
私はタクシーから蹴落とされたように棄てられた。
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