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私の顔の雲行きが怪しくなったのを感じ取ったのか先生は私の顔を覗き込み、再び頭をポンッと撫でる。
『莉緒、俺がどうして今まで連絡しなかったと思う?』
「え?」
先生の顔に不安な点など全く見受けられず私の緊張もほんの少し和らいだ。
『お父さんと約束してたんだ、卒業までは一切連絡をしないって。約束を守れたら卒業したらあとは自分達の好きなようにしないさいと言ってくださった。言ったろ?俺は莉緒と離れてしまうことは避けたいって。』
「先生……。」
私の知らないところでいつそんな話をしていたのだろう…
だけどお父さんはちゃんと私の事を考えていてくれたのだと思うとなんだかくすぐったい気持ちになった。
『お前はホントに周りから愛されてるよ。まぁ俺が1番だけどな。』
すると『ヒューヒュー』と沢山の冷やかしの声が理科室に響き渡った。
そして高橋先生が場を静めるように手を叩く。
『さて、先生のホームルームはこれで最後です。先生は皆に気持ちよく卒業して欲しかった…
だからこれは最高の最後のホームルームになりました。
どんな困難でも二人のようにきっと乗り越える事の出来る日がいつか来ると信じてこれからもどんどん成長していってください。
解散!』
そう言って高橋先生は理科室から出ていく。
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