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「え…そんな終わりでいいの?」
私がポカンとしながら突っ込みを入れると由奈が口を開く。
『あたしも教室戻ろ。莉緒、後でね。』
そう言って理科室から出ていこうとする由奈を皆も立ち尽くして見ている。
『もう!高橋先生のキレの悪い気の使い方皆も気付いてあげてよ!二人にしてあげて。』
柔らかい笑顔で由奈がそう言うとクラスメート達はそれぞれに頷きぞろぞろと理科室から出ていった。
『ほんと、愛されてんね。』
「ふふふ、それは先生も一緒じゃない?」
そして理科室から誰もいなくなると榎本先生は私の額におでこを当てる。
『莉緒、これでずっと一緒だな。』
「先生…」
私は自ら唇を近付けるとピタッとくっついていたおでこが急に離れた。
「えっ…えぇ!?」
せっかく勇気をだしたのに!!
そう思い口を尖らせると榎本先生がニヤリと笑う。
『莉緒、もう卒業したんだから俺の事先生じゃないだろ?名前で呼べよ。』
「えっ…えっ!ちょっ…そんなこといきなり言われても…」
悪戯な顔をした先生はまるでイタズラ好きな子供みい。
「ふふふ。」
思わず溢れる笑みと共に私は耳元で囁く。
「榎本先生はいつまで経ってもあたしにとっては先生だよ!」
FIN
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