5piece 見えない本心

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「だから無理だと言ってるでしょう!」 廊下に出ると、怒りのこもった女性の声が響いてきた。 見ると、社長室のドアの前に、立花 葵と佐倉さんが向き合って言い合いをしている。 「東条に話があるって言ってんだろ。通せよ!」 「分からない人ね。他社の人間だろうと、自社の人間だろうと、アポのない人間は通すなと言われてるの!」 「お前に用はない。東条に会わせろ!」 葵さんを押し退けて、社長室のドアを開けてしまいそうな勢いの佐倉さんに、私は駆け寄ると、後ろから彼の腕をつかんだ。 「佐倉さん、何やってるんですかっ」 彼が振り返り、私を見る。 「綾瀬」 「もう行きましょう?」 佐倉さんの腕を引っ張って連れて行こうとしたけど、逆に、彼に両肩を捕まれた。 「かばうのか、アイツを?」 「かばうとか、そういうんじゃなくて……」 その時、社長室のドアの向こうから声が響いてくる。
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